蔵前と清澄白河の間に位置する「両国」。江戸時代から、交通の要衝あるいは歓楽街として栄えてきた歴史がある。そして何より「相撲」の聖地として知られ、かつては観光地のイメージが強かったが、近年では住む人にも嬉しいおしゃれなスポットが増えつつあるという。そこで今回は、両国の新たな一面を探るべく、個性豊かな新体験スポットへ。一緒に街歩きをしてくれたのは、フリーアナウンサーとしてテレビ・ラジオを中心に幅広く活躍を続ける宇賀なつみさん。旅が大好きで、仕事ではいうまでもなく、プライベートでも国内外さまざまな街をめぐってきたという。そんな宇賀さんの目には、今の両国はどう映るのだろうか。地元の新たなコミュニティスポットとして、存在感を強める注目の店舗を訪ねた。
東京都練馬区出身。2009年立教大学社会学部を卒業後、テレビ朝日入社。「報道ステーション」気象キャスターとしてデビュー後、同番組スポーツキャスターとして、トップアスリートへのインタビューやスポーツ中継等を担当。その後、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「池上彰のニュースそうだったのか」など情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社。フリーランスに転向後は『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日)や『土曜はナニする!?』(関西テレビ)、『日本郵便SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)などテレビ・ラジオを中心に活躍中。23年2月、初のエッセイ本『じゆうがたび』を発売。
https://aestas.tokyo
Instagram:@natsumi_uga
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2021年9月に緑一丁目交差点にオープンした複合ショップ。一見、ジェラートやグリーンを展開するコーヒー屋のようでもあるが、実は店主が入れ替わるシェアリングコーヒー&ビーンのスペース「珈琲 而今 (コーヒーニコン)」、ジェラート&クッキーの店「Eboneko(エボネコ)」、グリーン&フラワーの店「華業 樹(タツキ)」が同居するミニチュアデパートのような様相を呈する。
「ここにあるのは、コーヒーショップが仕入れたアイスクリームでもなければ、ジェラートショップが全自動で用意するコーヒーでも、草花のストーリーもわからず買い付けたどこにでもあるブーケでもありません。それぞれのプロフェッショナルが追求した本格的な一品を、同時に楽しめる空間となっています」と話すのはオーナーのチャコさん。
白を基調とした明るくクリーンな店内には、バリスタが淹れる香り豊かなコーヒーや素材が生かされた無添加のジェラート、そして個性的なブーケや観葉植物などが揃う。
「私は両国が地元でもあるのですが、周りに地元の人が楽しめるような空間が少ないと感じていました。観光で訪れる方はもちろんですが、両国に住む方が両国で楽しめる瞬間をもっと増やしていきたいという想いからお店を立ち上げました」
イタリアでの留学経験を持つチャコさんが目指したのは、イタリアのバールのような老若男女から愛される場所。オープンから3年、今では毎日のように通ってくれる地元の常連客も多いという。
この日、宇賀さんがオーダーしたのは「CAFÉ LATTE hot」(¥600+Tax)とイタリアンアイスクリーム「ジェラートダブル」(¥400+Tax)。浅煎りの豆を使ったラテは、爽やかな甘みのあるミルキーな味わいが特徴。「ラテが美味しい季節が来ましたね」とラテ好きな宇賀さんもにっこり。
グラスに盛り付けられたジェラートは、マイルドなコーヒー味に70%カカオのチョコレートとマーマレードが混ぜ込まれたミルク味を組み合わせたもの。「全部自家製ですか? すごく美味しいです。チョコがパリパリ!」と宇賀さん。季節によって、常時4〜6種類がショーケースに並ぶという。今日はどれにしようか……と悩む時間もまた癒しのひととき。
珈琲屋の1店舗と花屋は、両国エリアに本店も構える。また違った品揃えだというから、散歩がてら足を運んでみるのもいいだろう。ここを拠点に、新たな街の魅力を発見できるのもまた嬉しい。
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墨田区緑の国道14号沿いに店を構える「CHILL OUT COFFEE & RECORDS」。店名には「コーヒーを片手にレコードを聴きながらゆっくりと過ごしてほしい」という店主の想いが込められているという。
あたたかな陽が降りそそぐ明るい店内には、70年代のソウルやジャズ、ブラックミュージックから90年代のヒップホップまで、店主の村田俊介さんが1枚1枚セレクトした幅広いジャンルのレコードが所狭しに並ぶ。中には、DJの常連さんがリミックスしてくれたというオリジナルのカセットテープも。レコードはすべてが購入可能。宝探し気分でお気に入りの1枚を見つけたい。
「今は世界中の音楽が気軽に聴ける時代なので、いろいろな音楽を楽しんでいます」と話す宇賀さん。「今ちょうど店内に流れていますが、山下達郎さんも大好きなんです。達郎さんがラジオで紹介されていたのをきっかけに、70年代のアメリカ音楽を聞いてみたこともあります」と早速、店主 村田さんとの音楽談義に花が咲く。
ブラジルやエチオピアの中煎り〜深煎りを中心に、常時5種類ほどが揃う豆は、森下で地元の人々から絶大な支持を得る「The Northwave Coffee」や沖縄のコーヒーショップ「AMBER HOLIC.」から仕入れているもの。オーダーが入ってから豆を挽き、ハンドドリップで1杯ずつ丁寧に淹れてくれるコーヒーは、薫り高くすっきりとした味わいが特徴。その傍らで甘い香りを漂わせる、オリジナルのスコーンやケーキにも思わず手が伸びてしまう。
村田さんがこの店をオープンさせたのは、2017年4月のこと。地元が清澄白河だったこともあり、もともとは清澄エリアでの出店を考えていた。しかし、その頃の清澄白河はすでにカフェブームに沸き、新たな店舗が続々とオープンしていた時期。静かな街で店をやりたかったという村田さんは、当時まだ手垢のついていなかった、お隣の両国エリアを選んだというわけだ。
「近くには『すみだ北斎美術館』もありましたし、何かが動き出しそうな気配を感じました。お店が盛り上がれば、きっとここをハブとして、他にも面白い店舗や人が集まってくるだろうと思ったんです。開業してもうすぐ8年。徐々に小洒落た雰囲気のお店も増え、街としての面白みが増してきているように感じます」
今では、音楽好きやコーヒー好きの地元住民が足繁く通うコミュニティの場、観光客がほっと一息付ける憩いの場として人気を博している。この日も、常連客から海外の旅行客まで次から次へと人が集まり、客足が途絶えることはなかった。オープン以来、店を通じてさまざまな人たちと出会い、進化を遂げていると話す村田さん。これから先も人と人、店舗と店舗が出会い、どんな化学反応が起きるのかが楽しみだ。
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2024年1月、宿泊施設「COGO RYOGOKU」の1Fにオープンした両国エリア初となるプライベートサウナ。広々としたバスルームにベッドや椅子が設えられたような空間は、サウナというよりもラグジュアリーホテルにあるプライベートスパのよう。
ここで体験できるのは、3種の蒸気が身体を包み込む新感覚のサウナ。その最大の特徴とも言えるのが、ボタンを押すとサウナ室上部から霧が噴射される「霧宙ミスト」だ。また、サウナストーブには「スチームジェネレーター」が搭載され、まるで沸騰したヤカンから常に蒸気が出ているような状態をつくり出しているという。さらに、アロマを垂らしてセルフロウリュを行えば、室内に熱い蒸気が香りとともにいっせいにたち込める。
この温度の低いミストの蒸気、スチームジェネレーターによるお湯の蒸気、ロウリュウの熱い蒸気という異なる3種の蒸気がじんわりと身体全体を温めてくれるのだ。湿度の高いサウナは、肌や頭皮にもやさしいというから嬉しい。
また、おすすめなのがサウナ内で頭から冷水をかける「冷頭スプラッシュ」と名付けられたサービス。体感寒暖トリップ状態を生み出し「1セット入るだけで3セット目くらい整う」と評判を呼んでいるという。冷水でのリフレッシュを挟むことで、より長くサウナを楽しむことができるのだ。「のぼせてしまい、長くサウナに入っていることができない!」という方にはぜひ試してみてほしい。
そして、サウナ後に待っている水風呂にも驚きの仕掛けが。ボタンを押すと水風呂上空から霧が発生。きめ細かな霧が肌をやさしく包み込み、頭部や顔からの放熱を助けてくれる効果があるという。それはまるで、大自然の中で滝の飛沫を浴びるような感覚。これまでに味わったことのない快感に、病みつきになること請け合いだ。
子どもの頃からお風呂に入るのが大好きで、今でも週に2回は温泉や大きいお風呂に入りにいくという宇賀さん。最近ではサウナにもハマっているという。
「やっぱり、汗を掻くとデトックスできるなと感じます。時間があるとせわしなく動いてしまう方なので、サウナでボーっと無になって、水風呂に入り整うと、思考が解放される感覚があります。あの感覚はやっぱりサウナならではですね」「サウナは熱い中で我慢して入って、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、私はサウナの本場フィンランドを訪れてから感覚が変わりました。フィンランドでは、朝起きたらまずはサウナ、お昼を食べたらまたサウナ、夜寝る前にもサウナ……みたいに、サウナが生活の一部になっていて。それこそ水を飲むようにサウナに入っているのを見て、こんなに自由でいいんだなと。ルールはないんだと思ったら、より入りやすくなりました」
プライベートサウナなら、周りの目を気にすることなく自分の好きなタイミングで好きなだけ楽しめる。タオルやアメニティはもちろん、水着やサウナハット、サウナポンチョもレンタルが可能で、思いついたタイミングで手ぶらで立ち寄れるのも嬉しい。ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。
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国道14号線の1本裏にある、閑静な住宅街。その一角にひっそりと佇むバーがある。バーというと、中の様子が窺い知れず、初めてだと足を踏み入れるのに躊躇してしまうような店も多い。しかし、ここは初めてでもふらりと入りやすい、おしゃれカフェを彷彿とさせる開放感あふれる空間が魅力だ。
「オーセンティックなバーは敷居が高くて入りにくいというような、バー初心者の方にも気軽に来てほしいです」と話すのは店主の鈴木康通さん。
「お酒の種類も、バー初心者でも頼みやすいようなライナップとしています。カクテル類も非常に飲みやすく作っていますし、ウイスキーも癖が強いものよりは、甘くて飲みやすいものが多いですね」
宇賀さんが最初にオーダーしたのは、清澄白河に蒸留所を構える「深川蒸留所」のボタニカルなクラフトジン「深川ツブロ 薔薇」。薔薇の中でも特に香り高い「ダマスクローズ」を蒸留後に浸漬し、香りをより際立たせた新しいクラフトジンだ。華やかで幸福感あふれる味わいに、宇賀さんも「薔薇の香りのジンなんて初めて。本当に華やか!」と目を丸くする。
バーや居酒屋を巡るのも好きだと話す宇賀さん。普段暮らしている街とは違うエリアを訪れた際は、どこかにいい店はないかと常にアンテナを張り巡らしているという。
宇賀さんが次にオーダーしたのは「葡萄のマティーニ」。「ZUBROWKA(ズブロッカ)」という桜餅フレーバーのウォッカに、マスカットのリキュールやレモンジュース、白ワインを加えたもの。その味わいに「ぶどうが爽やか! すごく贅沢ですね。美味しい〜」と宇賀さんもご満悦。店主 鈴木さんとの会話も自然と盛り上がる。1杯のマティーニをきっかけに会話が広がっていくのも、バーの醍醐味だろう。
オープンして今年で4年を迎えた同店。偶然見つけられるような立地ではないため、当初は集客に苦労したが、その噂が口コミで徐々に広がり、今では20代、30代の比較的若い常連客で連日賑わっているという。
「いつのまにか、若者が集うコミュニティスペースのようになっていますね。両国の魅力は人の良さにあると思っています。おひとりでいらしたお客様も、いつのまにか他のお客様と仲良くなっているんですよ。この辺りならではの下町文化なんでしょうね」
店のある緑町には、ここ1年くらいでユニークな飲み屋がどんどん増えていると話す鈴木さん。「クラシックを流しながらワインを出すお店や、UKロックを流しながら日本酒を出すお店まで、若い感性と飲みが合体したようなお店がすごく増えていて。めちゃくちゃ面白いエリアになってきています。もう緑町界隈だけで飲み歩きができますね」
「インバウンドとローカルの起点になりたい」という想いから、バーをオープンしたという鈴木さん。その土台はもう出来上がりつつあるという。人と人との繋がりから、ワインイベントやDJイベント、農家の人たちとコラボしたミクソロジーのイベントなどを定期開催しているという同店。一度訪れれば、その居心地の良さを肌で感じ取れるはずだ。
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これまで両国には仕事で何度も訪れたことがありましたが、こんなにおしゃれなお店が増えてきているとは知りませんでした。コンパクトながらも個性的で新しさを感じるお店が点在していて、そういうところをホッピングというかめぐっていくのも楽しそうですよね。若い人が経営する新しいお店が増えているというのは、暮らしている人にとっても嬉しいことだろうなと思います。
この辺りは、それこそ江戸時代から栄えていて、歴史も長く、独特の文化が根付いている街ですよね。江戸っ子文化というか、下町ならではの人情のあたたかさも感じられました。古いものと新しいものがミックスされているというのが魅力ですよね。歴史はお金では買えません。歴史こそがもともとその場所にある魅力なのだと思います。そこに、どんどん新しい要素が入っていくことで、これから先もまだまだ進化していく街なのではと感じました。
そして、両国といえばやはり相撲も外せません。私もスポーツキャスター時代から何度も足を運んでいますが、やはり独特の面白さがあります。他のスポーツとはちょっと違いますよね。細かいルールや技は分からなくても、勝ち負けは一目瞭然じゃないですか。老若男女、誰が見ても「うわっ!」と思える瞬間が一緒というか。その場にいる全員が一体となる空気感が面白いですよね。あとは、あの場所でしか味わえない食べ物も結構あって。ビールを片手に焼き鳥をつまみながら正座をして相撲を見るというのも、日本の文化を体感できて楽しいです。
伊藤忠の住まい「CREVIA」
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「書く習慣」 をご紹介しています!
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複数の再開発プロジェクトが進められている東京駅周辺エリアから3km圏内。歴史と文化が息づく江戸情緒あふれる街「両国」に、クレヴィア両国レジデンスが誕生。2駅3路線の利用が可能な利便性の高い立地は、都心での暮らしをアクティブかつ快適にしてくれます。
戸建てや小規模集合住宅中心の、穏やかな街並みに溶け込む邸宅然とした外観。シンプルながらも表情のある意匠素材が品格を感じさせるエントランスファサードは、ハイクラスな都市ホテルを彷彿とさせます。住戸アプローチは、プライバシーに配慮した内廊下を採用。また、各階には住戸ごとに宅配ボックスを設置。重い荷物もスムーズに住戸内に運び入れることができます。
住空間は、1LDK・35㎡台~3LDK・58㎡台が用意され、多様なライフスタイルに対応。居住性を高めるワイドスパンと角住戸率68%で、ゆとりと開放感が広がるつくりとなっています。使い勝手を考えた機能性あふれるキッチンや、快適性にこだわったバスルーム、心地よさを追求したパウダールームなど、美意識と品質を備えた住まいは、暮らしを軽やかに彩ってくれます。クレヴィア両国レジデンス
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