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LIFE STYLE MAGAZINE CREVIA TIMES learn NO.50

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「モノ」にまつわるストーリーを受け継ぐライフスタイル 遠山正道氏が考える「モノ」の価値

服やアクセサリーといった身につける品から、インテリア、テーブルウェア等の生活用品、そして趣味趣向性の高い雑貨まで、人は様々なモノに囲まれて生活をしています。モノを選ぶ際、個人の好みやこだわりを持って手に入れることが多いのに、それらは次第に古くなり、また使わなくなって仕方なく捨てられていくのが現実。”思い入れのあるモノだから、捨てるのは惜しい”と皆さんは考えたことありませんか?今回は、モノの価値を考え、新しいアプローチによって、リサイクルをおこなっているスペースをご紹介。教えていただくのは、リサイクルの新しいカタチを提案するセレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」を展開している株式会社スマイルズ代表の遠山正道さん。改めてモノの価値を考え、楽しくモノと付き合う生活をしてみませんか!

遠山正道
Masamichi Toyama 遠山正道

株式会社スマイルズ代表。1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、「giraffe」、「PASS THE BATON」「100本のスプーン」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。

PASS THE BATON
www.pass-the-baton.com

答えは、 コンテンツの 最後に。

story of Toyama and his Shorts 20年、修繕を続けたショートパンツの物語

モノを大切にし、長く使用している愛用品が沢山あるという遠山さん。その中でも特に大事にしているのがこのショートパンツ。

「22年程前に現在の家に引っ越した際、近くのOKURAというお店で購入したパンツで、それ以来ずっと穿き続けているものです」

「もうかれこれ4回くらいは修理に出しているのですが、直しても次は破けたところの周りが弱くなって…。キリがないんですよね。でも好きなのでまた直して穿いてしまうんですよ。他にもジャケットやスーツなど、長く愛用しているものは結構あります。それらの魅力は、自分が大事に使っていて、育ってきたというその過程が大きいと思います。もし、これらと同じ形のものが新品であったとしても、きっと魅力は感じません。愛着を持って使っているとさらに愛着が湧くんですよね。価値というものは人それぞれで、このパンツの場合、自分にしか分からないことかもしれませんが、そういう部分を分かってもらえる人がいたら嬉しいですよね」

NEW Recycle  モノの持つ物語ごと受け継ぐ新しい「リサイクル」

「勿体ないな」という考えが発端となり、そして思いついたのがリサイクルショップ。第一弾として今までにはない個人のセンスや人となりが伝わる新たなセレクトリサイクルショップを丸の内にオープンした。

過去を消し去り、販売をするというリサイクルショップが多い中、誰が持っていて、どのような思いで使っていたのかに価値を見出し、出品者の顔とプロフィール、そしてモノのストーリーをつけて出品するのが大きな違い。

オープン当初は、まだFacebookのようなSNSもなく、顔やプロフィールを出すことに抵抗もあるかなと考えていたため、まずは著名人の出品からスタート。現在では、モノのストーリーが多くの人に賛同してもらえるようになり、思い出のバトン(購入した方が出品者に宛てて手紙を送る)システムも好評を得ている。

「実際のところ、ビジネスというのものは中々そう上手くはいきません。常に危機に瀕したりして。ただ単にかっこいいから、流行っているから、売れそうだから、また外からの噂や情報だけで始めてしまうと、いざそういう状況になった時に耐えられないんですよね。自分自身、何があってもそれにしがみついてやっていくんだ!というくらいの気持ちがないとすぐにダメになってしまうと思います。やりたいことをやる四行詩というものが自分の中にあって、それは『やりたいということ、必然性(なぜやるのか)、意義(周りを納得させるもの)、今までにない(オリジナル)という価値』。最初にしっかりと根っこがないとダメなんですよね」

Kyoto, the best place to find the ”old but new” 古都・京都へも広がった「古きものに新しい価値を見出す」技

表参道は様々なアイテムがところ狭しと並び、ギャラリーなども設けたストリートな感じだが、京都は100年以上の歴史を持つ町屋を改装して、京都らしい落ち着いたイメージに仕上げている。

店内に並ぶ商品としては、京都の伝統工芸品や着物、そして味のある和食器など、京都に馴染みのあるものが集められている。

和の雰囲気がたっぷりの店内。一般の出品者からリサイクル品を預かる出品専用カウンターも落ち着いた雰囲気となっている。

”すでにあるものを大切にし、新たな価値を創造する”というコンセプトのもと、伝統的建造物を改装した京都の街並みにとけ込み、またパスザバトンらしいセンスを感じさせる京都祇園店。インテリアデザインは丸の内店、表参道店と同じくWonderwall 片山正通氏(http://www.crevia-times.com/learn/29/)が手がける。「元々、次に店を出すなら京都がいいなと考えていました。古いものを大事にして成り立っている街ですし、相性もいいなと思っていたので。その時、ちょうどコンペの公募が出ていたので、応募をして、開店に至ったという経緯となっています。京都は観光客も多く、これまでとは違った楽しみ方として、飲食スペースも併設しました」

新たに設けられた飲食スペース「お茶と酒 たすき」。昼は喫茶、夜はバーというスタイル。「おもてなし」の心で、お客様を迎えている。

「現在、考えていることはふたつあります。ひとつは、スマイルズが作家として、昨年は越後の芸術祭に出展したので、今年は瀬戸内の芸術祭への出展を考えています。古い一軒家を借り、そこをホテル形式で作品にしようかと。企業がアートをする意義は難しいのですが、そこから新たな価値を見出すことができたら良いなと考えています。もう一つは、社外の人との協業、例えば一冊の本を売る森岡書店という銀座の小さな本屋(個人事業等)への出資など。規模が小さければ小さいほど、個人の魅力や能力を最大化できるのではないかという考えからです。これを続けて、仲間がたくさん増えれば、次に何かをやろうとなった時に色々なアイデアや力が集まり、良いものができるのではと思っています」

  1. LIFE STYLE QUESTION 淵上正幸さんに聞きました。あなたの「理想の住まい」 をおしえてください。

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