世界的に自然の中でキャンプしながら過ごす休暇が流行中の今、新しいスタイルのキャンプ、「グランピング」という言葉が旬に敏感な人たちの間で聞かれるようになって久しいようです。
その語感から「グラマラスで豪華なキャンプ」という印象を受けがちですが、本当の「グランピング」はどうやら違うよう。
日本初の本格グランピング施設<星のや富士>で日常を忘れて自然を味わい尽くす休暇の過ごし方を教わりました。
株式会社 星野リゾート「星のや富士」総支配人
新潟県出身。立教大学観光学部卒業。2004年星野リゾート入社。ウェディング部門等の関連部署を経て、2006年に星のやブランドのディレクターとしてマーケティングに従事。
2010年に星のや軽井沢の総支配人に抜擢され、現場の第一線でキャリアを積んだ。2012年、星のや竹富島の開業準備に伴い家族と共に竹富島に赴任。3つ目の星のやの総支配人となる。2015年「星のや富士」総支配人に就任。
「グランピング」という言葉はグラマラス+キャンピング(Glamourous+Campimg)を合わせた造語です。この言葉の歴史は浅く、初登場は2005年のイギリス。アウトドア大国のアメリカやオーストラリアではなくイギリス、というのが意外ですが、実はラグジュリアスなキャンプというコンセプト自体、イギリスではなんと16世紀から存在していた、といいます。
そう、王や貴族の「野営」です。自分の居城と同じクオリティーを野営にも求めた彼らは、軍隊を指揮する際も宮殿で使用するすべての設備を望んだとのこと。16世紀、スコットランドのアソル大公がハイランドに滞在していたジェームズ五世を訪れた際の素晴らしい体験について記しています。
野外で過ごす際も自宅以上の快適さ。いわばライフスタイルをそのまま持ち運ぶという欧米富裕層のキャンプスタイルは、近代、1920年頃になっても続いていました。例えば映画『アラビアのロレンス』でのロレンス中佐の美しいテントの様子や、『インディ・ジョーンズ』シリーズでテントの中で描かれた、砂漠のテントの中なのに猫足のバスタブがある風景などを思い浮かべていただくと、それが当時の「豪華な野営」に近いかもしれません。
そういったゴージャスな野営というルーツの延長上に、現代のテクノロジーを加えて登場したのがグランピング、というわけです。たき火でマシュマロを焼くのはキャンプの楽しさのひとつですが、竹串もマシュマロも、たき火も、そしてたき火によく合うスモーキーなウィスキーのラインナップまで、かたわらに完璧に準備されているのです。
お湯のある生活、地元の旬の食材を活かした新鮮な食事、暖かなベッドルーム。そういった今の生活の快適さはそのままに、キャンプで煩わしいところはホテル側が準備し、「ここしかない」という絶好のロケーションで自然の豊かさを享受できる。まさに王様の野営。日本で初めてこの本来の意味に沿ったグランピングの休暇を味わえるのが、ここ「星のや富士」である、と総支配人の澤田裕一氏は言います。さあ、あとはのびのびと自然を楽しむだけ!
「星のや富士」がオープンしたのは2015年10月30日。「日本初のグランピングリゾートを作る」というコンセプトは、海外のリゾートをよく経験してきた社長から出てきたものだそう。森の中に「クラウドテラス」という名の、幾層にも重なったオープンエアーのパブリックゾーンを設置。「焚き火ラウンジ」「森のひととき」など開けた自然の中にいながらプライベートな楽しみ方ができるのは、グランピングの醍醐味かもしれません。
チェックインは河口湖畔にほど近いレセプションで。壁に飾られた色とりどりのリュックは、好きなものを選んで滞在中に使用出来ます。中には森を楽しむための7つ道具が入っています。
レセプションからはホテルの車で急な坂道を登り、キャビンゾーンへ移動します。合間にはサクラや紅葉など四季折々の景色が楽しめます。客室は全40室あり、キューブ状の各部屋が湖畔に向けて立ち並ぶ設計は東環境・建築研究所の東利恵さんが手がけました。
キャビンはすべてレイクビュー。バスルームからもレイクビューが楽しめるタイプやテラスでの薪ストーブが楽しめるタイプも。
室内はスタイリッシュでありながらも色を抑えたしつらえになっており、客室での一番の贅沢は「河口湖を望む景色」であるという、デザイナーのテーマが感じられます。テラスは寒い時期でも戸外を楽しめるよう、冬にはこたつのような暖房が入っており、部屋に防寒着も常備。とことんまで自然の贅沢を楽しめるよう、行き届いたサービスです。
テラスでの朝食、モーニングBOX。熱々の季節のスープやフレッシュなサラダなどを自室のテラスでいただけます。天気が良い日にはこんな絶景も。
「星のや富士」以前は「星のや竹富島」「星のや軽井沢」などのオープニングにも立ち会ったという澤田総支配人。「このホテルの魅力は、都心から日帰りできるようなアクセスで、ストレスなく、豊かな自然を享受できることでしょうか。河口湖は今までそのアクセスの良さから日帰りのお客様がほとんどで、24時間移り変わるこの土地の自然の美はまだよく発見されていなかったのかもしれない、と考えています。
例えば当ホテルのおすすめのアクティビティとして、早朝カヌーがあるのですが、寒暖差が激しい河口湖畔では、湖面に朝もやが降りていることが多いのです。鳥の声がかすかに聞こえるその湖面を、カヌーで静かにすすみ森を眺めるのは本当に幻想的な体験です。グランピングの魅力とは、本来相当準備や知識が必要なそういった大自然の中でのアクティビティを、プロのサービスにより、“粋”の部分だけ経験できることにあると考えます。ご宿泊されたお客様はとてもリフレッシュしてお帰りになりますね」
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- リュック
- 森の中ではモノトーンではなく目立つように鮮やかな色のものを身につけておくのが山歩きの基本。レセプションで選べるリュックは落ち着いたスモーキーな色合いながら目立つ。
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- マップと森のおやつ
- ホテル内といえども敷地は6ヘクタールもの広さ。スマートフォンのGPSが役立たないこともあるので、バードウォッチングの際は必ず紙の地図を用意していこう。
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- ヘッドランプ
- 足場が悪い森の中では、両手は空いていたほうがいい。急な天候の変化や冬の夕暮れの早さに備え、日暮れ前に戻ってくる場合でも必ずランプは携帯しておきたい。
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- フォールディングブランケット
- 山の中の急な温度変化や夜の星観察に備え、バッグの中に必ずアルミブランケットや写真にような小さくなる羽毛ブランケットを常備。非常時の体温維持が一番重要。
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- アルミボトル
- 近くに行く場合でも、森の中にはカフェがない。森を散策し歩くときは水を持参しよう。一息つきたいときのために中には自分好みの飲み物を入れて持ち歩きたい。
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- エアークッション
- 景色を眺めるとき、休憩するとき。リュックの中に空気でふくらませるこのタイプのクッションがあれば快適に過ごせる。また冷える地面に体温を奪われなくてすむ。
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- 双眼鏡
- バードウォッチングのマストアイテムといえばこれ。折りたためるタイプがかさばらずに使いやすい。片手でつかみやすい、手のひらサイズのものを選ぼう。
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