どこか敷居が高い気がする「アート」の世界。そんなアートをもっと身近に、気軽に、カジュアルな感覚で暮らしの中に取り入れてみませんか。玄関やリビング、それぞれの部屋に飾るだけで、いつもとはちょっと違った雰囲気となり、気分も変わってきます。今回は、「マイファーストアート(アートと気軽に付き合いはじめる最初の一枚)」というプロジェクトを主宰するDMO ARTSのプロデューサー、谷口純弘さんにカジュアルアートの魅力を教えて頂きました。部屋を楽しく、心も豊かにしてくれるアートのある暮らし、あなたも始めてみませんか。
FM802/digmeoutプロデューサー
1963年生まれ。京都出身。若手アーティストを起用し、ソニー、日産、りそな銀行、ナイキなどの企業プロモーションに携わり、国内・海外での展覧会などを手がけるなど「街」と「アート」と「人」をつなぎながら多岐にわたって活動中。現在はアメリカ村のギャラリーカフェ「digmeout ART&DINER」の企画プロデュースやJR大阪三越伊勢丹にアートギャラリー「DMO ARTS」をオープンさせている。
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写真はすべて谷口さんのご自宅で撮影。
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アートを手に入れると、心にゆとりができ、また生活も楽しくなってくるのが魅力。まずはその”アートを手に入れる”というのがポイントなのです。例えば美術館に行っても、そこにある有名な画を自分が買えると思いませんよね。でも1万円程度の金額ならば気軽に買えますし、買おうと思うと自然と選ぶことも楽しくなり、その画やアート自体も身近に感じるんです。マイファーストアートの場合は、価格もサイズも均一で、額は数種類からセレクトが可能。また画を購入した人専用の会員サイトが設けられていて、画を購入した人がどのように飾っているかを投稿できるようになっています。そのスペースが、飾り方の参考になったり、作家との交流の場にもなっているんです。画は売れなければ作家の手元に留まり、売れれば誰かの家に行く。そこからまた他の人の目に触れ、広がっていくものです。最初に購入する1枚がきっかけとなり、アートにハマっていく人も多く、これからもそのようなプロジェクトを続けていきたいと考えています。
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本棚は割とシンプルなスペースなので、どうしたらよいか悩むところなのですが、テーマを決めるとアートを飾ったときにまとまるんですよね。僕の場合、アートを飾るときに考えるのは、何か共通点を持たせること。今回の場合だと”赤”、”民芸”、”人形”など。そんな風にレイアウトしていくと自分的にも楽しかったり、まとまり感も出てくるんですよね。また本の表紙や背表紙の色、サイズなどとアートを組み合わせるのも面白いと思います。そういう置き方を考えていくのもオモシロイと思うんですよね。
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床置きは難しいと言われる方もいますが、それほど深く考えなくてもいいんです。ちょっとごちゃっとしていてあまり見せたくない場所があれば、それを隠す感じで置くのもアリ。また低い位置に置くと大きめのサイズものでもあっても圧迫感が薄れるんですよね。並べ方にしても、基本的には好きな感じでいいと思いますが、あえてポイントを言うならば、額に入れること、サイズを合わせること、そして色なども合わせた方がスマートに見えます。あとは自由、自然な感じにできたらベストですね。
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小さいスペースなので、季節感を大事にしたり、光が少なく、暗い場所なので、明るめのアートを置くのがいいと思います。また立体のものなどを置くのもおすすめです。ついたくさんものを置きがちですが、あまりごちゃごちゃさせない方がよく、キレイに見せるにはある程度の数に限定した方がよいかもしれません。季節ごとの模様替えは楽しく、飽きることもないんですよね。自分が好きで購入したものには、自然と自分だけのルールができていて、それが自分らしいレイアウトになるんですね。
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持家や分譲マンションであっても壁に穴を空けたり、キズをつけたくない人も多いはず。そのようなときは、以下のような取り外しが簡単で便利なアイテムの使用をおすすめします。一般的なホームセンターや量販店で購入可能なので、部屋をきれいな状態のままアートを飾りたい人はぜひ試してみてください。壁に額を飾る参考例として、2つの方法を紹介します。ひとつは額の裏側に紐を取付けてフックに引っ掛けるタイプ、もうひとつは額の裏側の凹みに合う木を壁に張りつけて、額の上部に掛けるタイプ(どちらも3Mのコマンドタブを使用。額の固定にはコクヨのひっつき虫を活用)です。*どちらもシールはがしスプレーを使えば、簡単にはがすことができます。
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アートに興味を持たれたら、まずはアートを実際に販売している場所(アートギャラリーやアートフェア)に足を運んでみてください。それが購入への第一歩となります。またごく基本的なことですが、日本の一般的な住宅は、海外ほど広くなく、大きなアートは置けない状況です。購入の際は、飾るスペースとアートのサイズをしっかりと測るということをお忘れなく。そして最後に、購入の際は無理をしないこと。自分が無理なく購入できる範囲の画を選ぶことが大事です。暮らしを楽しくしてくれるものが、逆に実生活を逼迫させてしまっては意味がありませんからね。
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ギャラリーを訪れ、いいなと感じたものや欲しいなと思った作品を見つけたら、その作家と話をしてみることをおすすめします(作家は展覧会の初日や最初の週末にいる傾向が多い)。作家と話をすると、その画がどういう意図や心境で描かれたのかを知ることができ、より興味も増してもっと好きになると思います。また家のどんな場所にどのように飾ればいいかを迷ってしまいそうな人には、最近流行のホテルでおこなわれるアートフェアをおすすめします。各部屋を使ってアートを飾るという形式なので、実際に部屋で飾るイメージを頭の中で描きやすく、参考になると思います。
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アートを通じて"Enjoy & Surf"のメッセージを送り続ける豊田弘治さんのアートユニット、パームグラフィックス。からっと明るいグラフィックと、ストレートなメッセージが幅広い世代に人気です。「映画のワンシーンのようにドローイングしてみました」と本人のコメント。ハッピーでリラックスした二人に。エディション15枚/サイン入り。
神戸のアーティスト、榎田良子さんのエッチング作品です。長い一日の終わりにホッとできる場所、素に戻れる場所、それがhome(我が家)。作家が自ら彩色 & シルクスクリーンでプリントしたエディション付き作品です。やさしい画風は飾る部屋を選ばずマッチすると思います。エディション20枚/サイン入り。
フリーハンドで描いた動物がピースなサチカフェさんの作品です。子供を持つお母さんたちに人気があります。鼻をつないでぐるぐる回る象さんの様子から、いろいろなお話が想像できそうですね。特にお子さんに喜ばれる画なので出産祝いにはピッタリだと思います。エディション15枚/サイン入り。
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JR大阪三越伊勢丹3Fにあるアートギャラリー。月に2本ペースで若手の注目作家の企画展を開催しており、国内国外のアートフェアにも積極的に参加している注目ギャラリー。個展のスペースに加えて、はじめて「アートを買う」人のための「マイファーストアート」のコーナーを常設。均一の価格設置(¥9,800)で、カジュアルにアートの購入が可能なスタイル。額も各種類から選択が可能でアートのサイズも日本の住宅事情にジャストフィット。即日の持ち帰りも可能。現在作家は300人を越え ストック作品も500種類以上。次々と新しい作品が登場するのも魅力となっている。
大阪市北区梅田3丁目1番3号JR大阪三越伊勢丹3階
営業時間:10:00〜20:00 定休日:年中無休(年末年始を除く)
http://www.dmoarts.com/
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