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LIFE STYLE MAGAZINE CREVIA TIMES LIVE NO.13

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日本で「クリスマス」と言うと、「イエス・キリストの誕生を祝う」神聖な祭りというよりも、商業的要素の高い「イベント」的なものとなってきている。一方、日本人が“伝統と文化の国”というイメージを持っている英国では、どのように「クリスマス」が祝われているのか。英国のリアルクリスマスを、「過ごし方」「準備」「食事」の3つの観点から、レポートしてみることにしよう。

ロンドン在住20年のライター/ジャーナリスト。 建築&デザイン関係の寄稿しているほか、翻訳など幅広く手掛けている。

  1. 日本では恋人と過ごすロマンチックなイメージがあるクリスマスですが、イギリスでは、家族が集まる年に一度の大イベント。日本のお正月に限りなく近いと言えばわかりやすいでしょうか? 家族が遠路から集まり、食べて飲んでプレゼントを交換するという、元旦まで続くお祭りといった感じです。12月に入ると「あと何日!」と準備に焦り始めるあたりも、まさに「師走」です。最近では家族構成が複雑なケースも多いので、誰に何をプレゼントするか、クリスマス当日をどこで誰と過ごすかなど、いろいろと頭が痛いことも少なくありません。海外のスキーリゾートや南の島に脱出する人たちがいるのも、日本の年末年始と同じではないでしょうか。

    この時期、家族で芝居などを観に行くのも伝統で、ディケンズの「クリスマスキャロル」など子供も楽しめる演目がたくさん上演されます。イギリスでは「ファーザークリスマス」と呼ぶサンタクロースも子供にとっては楽しみのひとつ。イヴの夜は大きな靴下を吊るし、シェリー酒やミンスパイ(ドライフルーツなどが詰まったパイ)、トナカイ用のニンジンなどをお礼として靴下の側に置いて眠り、クリスマスの朝、 飛び起きてプレゼントを発見! となるわけですが、親の方も足跡を付けたり、ニンジンをかじったりという演出をすることも。クリスマスの子供の様子を描いたレイモンド・ビリッグスのアニメーション「スノーマン」は日本でもおなじみかと思いますが、今年は新しい続編がイヴの夜に放映になります。ロンドンのランドマークもいっぱい登場するようで、こちらも楽しみです。

    クリスマスは、恵まれない子供たちや家族がいない人たちにとっては特に辛い季節なので、各種チャリティー活動もさかんになります。サンタのコスチュームで走って寄附を集めたり、ホームレス用パーティーのボランティアをしたり、イギリス人のチャリティー精神にはいつも感心させられます。 キリスト教が伝わる以前から、冬至の頃に催されていた祭りを起源に持つとされるクリスマス。さまざまな宗教や人種の人が暮らすロンドンですが、宗教を超えてみんなが共に楽しみ、支え合う、そんな祭事になっています。られます。 キリスト教が伝わる以前から、冬至の頃に催されていた祭りを起源に持つとされるクリスマス。さまざまな宗教や人種の人が暮らすロンドンですが、宗教を超えてみんなが共に楽しみ、支え合う、そんな祭事になっています。

  1. その頃、街角にはツリーの露店が立ち始めます。これも門松と同じように生の木が基本で、モミやアカマツなどの常緑樹で1mから2mぐらいまで各サイズあり、葉が落ちにくいタイプは値段も張ります。これを家に持ち帰り、外から見える窓際などに設置します。一番てっぺんに天使か星を付けるほかは、飾り付けは自由。手作りのジンジャーブレッドを飾り付ける家庭もあれば、シンプルなライティングだけの家庭もあります。リースも売っていますが、ツリーの下の方の枝を切ったものや、庭アイビーなどを切って丸く輪にまとめてリボンなどを付ければ充分。これは玄関のドアに付けます。最後にケルトのドロイド信仰に由来する白い実を付けたヤドリギの枝を魔除けとしてどこかに吊るせば完成です。プレゼントはそれぞれラッピングして名前札を付けてツリーの下に置きます。香りもクリスマスのムードの演出に欠かせません。ツリー自体もいい香りがしますが、それにオレンジやシナモン、クローブなどのスパイス、暖炉で火が燃える匂いなど。オレンジにクローブを刺したポマンダーの飾りを兼ねて手作りする人もいますが、クリスマスの香りのキャンドルやスプレーなどもいろいろと売っています。

    ロンドンで一番大きなクリスマスツリーは、トラファルガー広場に設置されるもので、第二次大戦時にイギリス軍がノルウェーを援護したことへのお礼として、毎年、ノルウェーからはるばる届きます。今年のものは樹齢約120年の大木で、高さは21メートルにも及びます。普段は迷信深くないイギリス人ですが、クリスマスの飾りはクリスマスから12日めの1月6日に片付けないと不運を呼ぶということで、これだけは律儀に守られています。ちなみに「使用済み」のツリーは行政区が回収し、堆肥にリサイクルしてくれます。

  1. ほかのヨーロッパの国と異なり、イギリスではクリスマスディナーはイヴの夜ではなく、25日の午後にいただくのが一般的です。スパイスを加えて軽く煮出した暖かいモルドワインとカナッペなどに始まり、スモークサーモンなどの前菜、続いてメイン料理は七面鳥かガチョウが定番。栗などを使った詰めものをして3時間ほどかけて丸焼きにします。ポテト、ニンジン、パーシニップ(白いニンジンのような独特の甘みのある根菜)、スイード(黄色っぽい巨大なカブ)などの野菜類も一緒にオーブンでローストしますが、基本的にオーブンに入れておくだけの料理ながら、それぞれにほどよく火が通り、おいしそうな焦げめが付いたアツアツをタイミングよくサーブするのが難しいところです。彩りとして芽キャベツと赤キャベツを添え、甘酸っぱいクランベリーソースやクローブを効かせたブレッドソースをかけていただきます。シンプルな料理ですが 「〇〇ファームの有機飼育」など、育ちのいい鳥を確実に入手するためには、数ヶ月前から予約が必要です。

    デザートは数種類用意しますが、主役はやっぱり「クリスマスプディング」。ドライフルーツやナッツなどがたっぷり入ったドッシリした黒い蒸しケーキのようなもので、今では店で買う人がほとんどですが、ギネスビールを使ったものなど、代々伝わるレシピで何年も前から仕込む家庭もあります。 部屋の灯を消し、クリスマスプディングにブランデーをかけて火をつけるというのが、ディナーのハイライトになります。 ホームメイドなら中にコインを一つ入れておき、それが誰に当たるかでも盛り上がります。イギリス式のクリスマスケーキもこのプディングに似た感じのもので、ブランデーやドライフルーツがたっぷりの重い生地のケーキになります。マジパンでしっかり覆ってデコレーションすれば日持ちがするので、クリスマス前からガラスケースに入れて飾る家庭もあります。

    3時になるとテレビでエリザベス女王のお言葉を拝聴、プレゼントを交換して盛り上がり、人気ドラマのクリスマス特別編などを見ながら、さらに飲んで食べ続けます。このままこのまま元旦までクリスマス気分は続きますが、ロンドンでは大晦日のカウントダウン後、大量の花火が打ち上げられるのも楽しみのひとつ。花火の前後は地下鉄やバスが無料になるのも恒例で、市長からのお年玉といったところでしょうか。

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