「AI (Artificial Intelligence)」「 IoT(Internet of Things)」という言葉、テレビやニュース等で耳にしたことはあったとしても、それが一体どんなことなのかを理解している人はどれだけいるだろうか。簡単に言うと、AIとは人工的に作られた知能を持つコンピューターシステムやソフトウェアのこと、またIoTは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノがネットワークを通じて繋がり、相互に情報交換ができるような仕組みのことをいう。実は、普段の生活の中で知らず知らずのうちに使っていたり、関わっていたりすることも多く、それらによって私たちの生活はより便利になっている。今回は、そんなAIやIoTを建築業界に先んじて取り入れ、研究、開発をおこなっている梓設計の岩瀬功樹氏に、AIやIoTの導入によって変化する働き方、そしてAIやIoTがもたらす未来や生活の豊かさについて教えていただいた。
1989年生まれ。立命館大学大学院を卒業後、2015年に梓設計に入社。スポーツ、エンタテインメントチームのメンバーとなり、スタジアムやアリーナの設計を担当しつつ、2019年に移転した梓設計新オフィスへのAI・IoT導入プロジェクトに参加。現在は、AIやIoT等のデジタル技術を活用するチームのリーダーに。また建材・家具アプリ「Pic Archi(ピックアーキ)」の開発にも携わっている。
梓設計
https://www.azusasekkei.co.jp/
Pic Archi(ピックアーキ)
https://picarchi.azusasekkei.co.jp/lp/
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今年創立75周年を迎えた梓設計。2019年に天王洲オフィスと羽田オフィスを統合する形で新オフィスは作られた。羽田という地は、創立初期から空港関連の仕事に多く携わっていたことへの原点回帰、また魅力的なオフィス空間を作り上げるというテーマのもとに選ばれた。その主な特徴は、社員全員の顔が見える見晴らしの良い広くフラットな空間と、メガプレートをエリアで区切る役割を果たしているランウェイ(滑走路)と名付けられた4本の軸、そして、AI・IoT技術の導入となっている。
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広大なオフィスはオープンなスタイルで、社長室や役員室といったものはなく、フリーアドレスで働けるようになっている。全席自由のフリーアドレスでありながら、部門単位のまとまりも意識した「誘導型フリーアドレス」が試みられている。オフィスは半個室のブースや集中デスク、立ち席といった様々なワークスペースのほか、ゆったりと過ごすことができるラウンジ、開放感のあるカフェテリアなども備えている。
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オフィス内に設置されたダッシュボードで、IoTを活用した情報の可視化がおこなわれている。10種類のIoTセンサーから15種類のデータをセンシング、社員の位置や部・課等のグループ表示をはじめ、温度や湿度、CO2濃度、照度、そして騒音等を表示。社員はボードを見て、仕事場所を自由に選択する。コロナ禍においては、密を避けて座る等の手段にもなっていた。スマートフォンのWi-Fiレベルで測位し、管理をおこなっている。
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オフィスをショールームとして活用するというのも新オフィスのコンセプトになっており、オフィス内には様々な家具やカーペットが使用されている。このスペースはレジャー施設、オフィス、高級ホテル等、ソファの奥行きや柔らかさのグレードを違えてレイアウトされており、社員だけでなく外部の人にも体験できるようになっている。オフィスに来ることが減った時代であっても、このような部分はリアルオフィスの良いところだという。
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AIやIoTへの関心ですが、僕が入社をした当時、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)という、今で言う建築業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)の先駆け的な考え方が普及しはじめていました。BIMを活用して設計をする上でそれらのテクノロジーの進歩を実感したこと、それと同時に、今後BIMや高速レンダリングが当たり前になり、次はどのようなものが来るのかと考えた際、まだ建築業界にあまり来ていなかったAIやIoTが思い浮かんだところからになります。
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新オフィスに導入したカーペットの種類は200以上。設計で選定する種類は無数にあり、プロのインテリアデザイナーであれば、判別も可能だと思いますが、それ以外の人には少々難しい。ただ設計の中では、品番や価格等が分かっていないと選定・デザインできない部分もあるので、それをAIにやって欲しいと考え、カーペットの画像認識を実際に試してみたら上手くいったので、アプリ化しました。「Pic Archi(ピックアーキ)」はカーペットのほか、家具や照明の検索も可能となっています。
IoTの実証実験をはじめて2年。コロナ禍でWEB会議が増え、オープンなオフィスだとスピーカーの声があちこちで流れ、それがうるさくなるという問題が出はじめました。その際も、IoTセンサーでオフィス内の騒音データを取っていたので、どの辺りがうるさくなってしまうのかを特定することができ、それを踏まえて改めて音のゾーニングがおこなえました。客観的に見られるデータがあると納得感もあり、改善とオフィスのアップデートにも繋がっていくのです。
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スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスのサービスは、AIやIoTといったテクノロジーのブレークスルーになると思います。次の時代は、健康やサステナブルな方向に進んでいくと考えて、スマートウォッチを全社導入(希望者のみに配布)し、個人の同意のもとにデータを活用する方向で現在実証をおこなっています。これを身につけていれば、リモートワークの際も勤怠状況の把握や健康状態の自然な報告もおこなえますし、共通のアクティビティアプリを利用して、皆が健康を高め合うコミュニケーションツールとしても活用できます。
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将来的には感情のセンシングを実現したいですね。例えば家の場合だと妻の機嫌や子どもの調子、自身の状態等、それらをテクノロジーが客観的に分析して我々に教えてくれるようなものを。さらにその状態に応じて、照明や温度の調節を天気が変わるような自然な感じでおこなうことができたら面白いなと思います。
今後は生活とテクノロジーが融合していくことが重要です。特に人間の力ではなかなか気づき得ない健康面やメンタル等の変化をテクノロジーが見つけ出し、その人の気づきになったり、喚起をしてくれるようなことができれば、生活はもっと豊かになるのではないでしょうか。最近、世の中は“曇り”が続いているので、AIやIoTがうまく作用して、“晴れ”になればいいなと思います。
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外観完成予想CG
こだわりやセンスを感じさせる多彩な店が集い、心を豊かにしてくれる緑に囲まれた街、たまプラーザ。そのほど近くにクレヴィアたまプラーザが誕生。都心へのアクセスにも優れながら、上質なをゆとりの暮らしを手に入れることのできるこの地で、新しい生活を始めてみませんか。
IoTシステム概念図
クレヴィアたまプラーザでは、これからの新しい暮らし方を見据えたマンションを提案。快適性やセキュリティに関わる機器の操作・確認をスマートフォンに集約させることを可能にしたIoT設備を全住戸に導入している。これにより、外出先から空調や給湯、照明、スマート家電等をコントロールすることができ、暮らしを快適にサポートしてくれる。
※1.掲載の外観完成予想CGは2020年8月に撮影した写真(現地より約350mの地点から撮影)を基に描き起こしたCGと計画段階の図面を基に描き起こした外観完成予想CGを合成したもので、形状・色彩・外構・植栽等は実際とは異なります。形状の細部・設備機器・配管等は省略または簡略化の上、表現しております。今後、行政指導・施工上の理由等により、計画に変更が生じる場合があります。樹木・植栽は、特定の季節やご入居時の状態を想定 して描かれたものではありません。実際に植樹する樹形・枝ぶり・葉や色合い等が異なる場合があります。また街路樹の位置・枝ぶりは今後変更となる場合があります。※本マンション敷地外の近隣建物や電柱・電線・標識ガードレール等は省略、または簡略化して表現しております。本マンション敷地外の近隣建物他の形状等が将来変更となる場合があります。
※Iot概念イメージイラスト/あくまで概念を示すものであり、住戸形状等は実際と異なります。※概念図に掲載しているIoT対応の機器、設置場所及び設置台数に関しては今後変更となる場合がございます。の色で表現されたものはオプションとなり、個別にご購入いただく必要があります。 尚、オプションの内容が変更となる場合がございます。※概念図内のエアコン・家具・調度品・照明カーテン等は販売価格に含まれておりません。 ※サービスの提供名称及び内容、形態は変更となる場合がございます。※サービスの月額利用料及びサービスを利用するための通信費等が別途必要となります。クレヴィアたまプラーザ
アクセス
東急田園都市線「たまプラーザ」駅徒歩7分/東急田園都市線「あざみ野」駅徒歩9分/横浜市営地下鉄ブルーライン「あざみ野」駅1番出口より徒歩9分間取りウェブサイトはこちら
1LDK〜3LDK
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