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LIFE STYLE MAGAZINE CREVIA TIMES learn NO.74

デザイン先進国オランダドローグデザインのいま レフトハンズ大野重和が、アイントホーフェンを訪ねる LEARN

デザイン先進国オランダドローグデザインのいま レフトハンズ大野重和が、アイントホーフェンを訪ねる

それはアートかプロダクトか?――1993年にミラノサローネ国際家具見本市で産声をあげ、既成概念を一蹴するようなコンセプチュアルなものづくりで世界のデザイン界に旋風を巻き起こしたオランダ発のドローグデザイン。デザイン編集者/デザイン史家のレニー・ラマーカス、プロダクトデザイナーのハイス・バッカーらを中心に集まったテヨ・レミ、マルセル・ワンダース、ユルゲン・ベイといった若手デザイナーたちが世に問うたのは、それまでのラグジュアリーの概念にも、大量消費の潮流にもアンチテーゼを唱える、「発想の意味性」によって付加価値を生むコンセプチュアルなプロダクトであった。カウンターカルチャー的な商品群で一世を風靡したドローグデザインの「いま」を知るべく、90年代からオランダの取材を続けてきたクリエイティブディレクター/エディターのlefthands大野重和が、オランダ南部にあるドローグデザインの聖地、アイントホーフェンを訪ねた。

TEAM DEJIMA チームデジマ

lefthands代表 1972年北海道出身。ファッションショー・プロデューサー、複数の出版社での編集者勤務を経て、2001年よりフリーエディターに。『BRUTUS』『Casa BRUTUS』『Esquire』『FRAME』『GQ』『VOGUE』などの雑誌に寄稿。2005年〜07年、『Esquire』エディター。07年、株式会社レフトハンズを設立。クリエイティブディレクター/コピーライターとして、ジャンルやメディアの枠を越え、幅広く活躍している。

Lefthands inc.
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IT’S A DROOG WORLD ドローグデザインの世界へ

  1. ドローグデザインは、1993年に開催された世界的な家具見本市「サローネ デル モービレ ミラノ」で初めて提唱されたデザインムーブメント。それまでの「デザイン優先」「機能性優先」「高級感優先」の価値観をまっこうから覆す、「考えさせること」をテーマとしたものづくりは、現代アートにも似て、世界中にセンセーションを巻き起こした。特徴としては、身の回りにある安価なリサイクル素材や廃材を用いたサスティナブルな素材づかいと、コンセプトとインパクトで見る人をあっと言わせるコンセプチュアルなデザインが挙げられる。知性を感じさせる新たな価値観あるいは選択肢として、そのプロダクトは世界中に広まった。

  2. オランダ南部の工業都市アイントホーフェンは、世界的な家電メーカー「フィリップス」の創業地としても知られる。今回訪ねたのは、元フィリップスのテレビ工場だった建物をリノベーションしたレストラン「ヘット・レストラン・ファン・ピート・ヘイン・イーク」。その名のとおり、ドローグデザインの旗手の一人、家具デザイナーとして人気のピート・ヘイン・イークが経営するスタイリッシュな店である。隣接する建物にはデザインショップや家具の工房も入り、まさにエリア一帯が「ドローグデザイン・ワールド」といった様相を呈している。

  3. 自然光溢れるレストラン内の空間は、スタイリッシュにまとめられていながらも遊び心に満ちていて、本物のクルマまでがオブジェとして飾られている。

  4. 山のように大量のスピーカーを積み込んだ、オブジェとしてのピックアップトラック。こうした身の回りにあるものを用いた、クスッと笑わせながらもウィットを感じさせる作風、見たことがあるもので見たことのないものをつくるアプローチが、ドローグデザインの特徴と言える。

  5. レストランに併設された家具工房兼ショールーム。廃材を素材としたテーブルは、ピート・ヘイン・イークの代名詞的作品のひとつ。

  6. 家具工房兼ショールームの一角。アヴァンギャルドな空間ながら、どこか落ち着きを感じさせるのは、廃材など人の手の温もりや経年変化を感じさせる素材使いにもよる。

  7. 家具工房の眺め。アートピースとしてのデザイン性の高い家具でありながら、その多くは廃材からつくられており、雰囲気には木工場そのものといったほのぼのしたものがある。

  8. 左/建物の外観。「屋上屋を架す」という言葉があるが、機能性と離れたところで、見る人に「なぜだろう?」と思考を促すのも、いかにもドローグデザインならではの手法である。右/家具工房兼ショールームのインテリア。高い天井から吊るされた無数のペンダントライトが、空間に楽しげなリズムを与えている。

  9. レストラン棟と家具工房兼ショールーム棟の間を抜ける小道。かつての廃工場は、地元の人々にも愛されるお洒落スポットとなり見事に蘇った。

  10. WELCOME TO EINDHOVEN! アイントホーフェンってどんなところ?

    オランダ南部の工業都市として栄えてきたアイントホーフェンの人口はおよそ70万人。オランダ第5位の人口を擁している。世界的な家電メーカー「フィリップス」の創業地であり、本社がアムステルダムに移転したのちも、その敷地や施設がデザイン学校「デザイン アカデミー アイントホーフェン」に転用されたり、今回訪れた複合施設にリノベーションされたりと、ドローグデザインの揺籃となっている。

    町の大半は第二次世界大戦によって破壊された過去を持ち、この教会のような古い建物は他のヨーロッパの都市と比べて少ない。新しいデザイン、新しい価値観を受容するオランダ人の気質との関連に思いを馳せると興味深い。

    アイントホーフェンの位置を示す地図。アムステルダムからの距離は約110kmで、鉄道で1時間20分ほどかかる。「チューリップと風車」だけでない、ドローグデザインの切り口でオランダを見るには、お薦めのデスティネーションと言える。

  11. LIFE STYLE QUESTION 大野重和さんに聞きました。あなたの「理想の住まい」 をおしえてください。

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