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LIFE STYLE MAGAZINE CREVIA TIMES LEARN NO.29

アートのある住まい learn

アートのある住まい

インテリアデザインをはじめ、建築デザインディレクション、物件の開発コンサルティングなど、国内にとどまることなく、世界を活動の場として活躍している片山正通氏。アートにも造詣が深く、所有するアートを自らのオフィス「ワンダーウォール」に取りいれ、オフィスはまさに片山氏のセンスとこだわりが詰まったスペースとなっている。今回は、そんな片山氏のオフィス「ワンダーウォール」を訪ね、そこからアートのある住まいについて学び、今後に活かせるヒントを見つける!

cover.
大竹利絵子の木彫作品「なみだ池」と松江泰治の映像作品「SCANDINAVIA 112477」(左上)、「QUI 100520」(左下)、「DXB 112294」(右上)、「ALPS 112682」(右下)、KAWSの「KAWS×Original Fake A FEET COMPANION」に囲まれる片山氏。

片山正通
片山正通

インテリアデザイナー。ワンダーウォール代表、武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 教授。1966年、岡山県生まれ。2000年、株式会社ワンダーウォール設立。コンセプトを具現化する際の自由な発想、また伝統や様式に敬意を払いつつ現代的要素を取り入れるバランス感覚が国際的に高く評価され、日本のみならず、ヨーロッパ、北アメリカ、オセアニア、アジアでプロジェクトに従事している。代表的なプロジェクトに、ユニクロ グローバル旗艦店(NY、パリ、銀座、上海他)、INTERSECT BY LEXUS - TOKYO(青山)、THOM BROWNE. NEW YORK AOYAMA(青山)、宝満宮 竈門神社 授与所(福岡)他多数。 www.wonder-wall.com

答えは、 コンテンツの 最後に。

  • 01

    片山正通
    オフィスのコンセプトと空間の使い方

    一般的にアートを空間に置いたり飾ったりするとき、まずは箱があり、そこに何を置きたいかというところから始まると思います。僕の場合は違っていて、置く場所や理由なども考えずに自分が気に入ったものを購入します。僕は常々自分の好きなものを活かせるようにしたいと考えていて、それで、以前は数カ所に散らばっていたオフィスを一カ所に集約させようとこのオフィスを作ることになったときに、今まで収集してきたアートのコレクションも飾りたいという欲求をプラスしたんです。もちろんアートだけに空間を預ける訳にはいかないので、階段室のまわりを使ってアートを飾ろうと考えました。自分が持っているものを活かそうという考えに基づいた、リアルにものから始まる空間づくりという感じです。

    片山正通

    片山正通

    片山正通
    1. エントランススペースには、Wonderwall設立10周年を記念したOriginal Fakeとのコラボレーション作品「KAWS WONDERWALL」と、イギリスを代表するアーティスト、ライアン・ガンダーの「TATE-Build a Fort, Set It on Fire-(Alchemy Box)」(Alchemy Boxとは「錬金術の箱」という意味。箱状の構造体と、その内容物を示すインレタシート(壁に貼り付け)のセットで構成される)をレイアウト。
    1. 縦と横に奥行きのあるミーティングルームには、ムース(ヘラジカ)の剥製とバッファローのアートピースを配置。
    2. ほこりやライティングまで演出してつくり上げたシーンを撮影した、ドイツの女性写真家リカルダ・ロッガンによる作品「Garage A」を展示。
  • 01

    片山正通
    「アート」と「デザイン」の違い

    デザインというものは、可能性を洗練させ、それをしっかりとまとめあげ、1人でも多くの人に見てもらえるようにするものです。一方アートは、特にまとまっていなくてもよく、新しい可能性や考え方を、荒っぽいながらもしっかりと提示できないといけないものだと思います。例えばあるアートは、見た人を不快にしたり、気分が悪くさせることがあるかもしれません。でもそのアートは、それだけその人に影響を与え、何かを考えさせたと言うことなんです。感動だけでなく、ときには気持ちのよくない面やアンバランスな部分を感じさせ、観る人の心を揺さぶってくれるのがアート。デザインの場合は、観る人を楽しませたり、気持ちよくなったり、幸せになれるきっかけになれればいい。そこが「アート」と「デザイン」の違いだと僕は思います。

    片山正通

    1. 国内外で購入した大小動物の剥製。デザイナーがつくることができない造形に対するリスペクトから入手したという。
    2. 片山氏のお気に入りのコレクションアイテム(宝物)が美しくレイアウトされたスペース。人形や食器、さらにはゴム風船を作るための古道具などユニークなものも飾られている。
  • 01

    片山正通
    「アート」と「デザイン」の違い

    アートというものは、思考的にすごく価値があり、”考えさせられること”―それが人間にとって一番のご褒美だと思うんですよね。僕自身、脳内の空間は無限だと考えていて、素晴らしいアートに出逢ったとき、その空間が広がると思っています。アートを生活に取り入れることは、単なる飾りではなく、自分に何かを問いかけてくれる機会になると思うんです。アートを選ぶ際には、まずは素直に自分の好きなものを選ぶということが大切です。心を豊かにしてくれるもの、そのアートを見たくて家に帰ってきたくなる、そこにあるととても幸せな気分になる―そういうものを選ぶといいと思いますよ。お気に入りのポスターを1枚、真剣に選んで飾る。極端な話、それでもいいのです。

    片山正通

    1. 旧ユーゴスラビア出身の画家、ジョージェ・オズボルトの作品。「Who's The Man」(写真左)「Global-Warming」(写真中央)「The Emperor」(写真右)。古今東西の有名文化人のポートレート。地球温暖化現象の影響で体調不良のサンタクロースに、タバコの吸いすぎと日焼けのしすぎで皮膚癌を起こしているようなカウボーイのマルボロマン、そして実はとても背が低かったといわれていることからキャンバスの下側に描かれたナポレオン。
    2. 1998年に発表した片山氏のデザインによる「KITCHEN(shelf)」。引き出しの内側をカスタムペインターの倉科昌高氏に製作依頼。2003年の作品集発売時に、パリのセレクトショップ「コレット」にて行われたプレス発表会及びファサードインスタレーションで展示したもの。
  • 自分らしく寛げる「マイワールド」のつくり方

    片山正通
    現代はTVや雑誌、インターネットでも、部屋づくりに関するたくさんの情報を見つけることができます。でも本来はもっと自由でいいと思うんです。自分にとって気持ちの良い空間にすることがとても大切で、僕のような仕事をしている立場からすれば、そういった個人にとっての良い空間をいろいろと見ることはとても面白く、また勉強にもなります。例えば、僕がここに飾っているこのクジラの骨の場合なのですが、これは北海道・知床の浜辺で見つけたものです。この物自体に価値があるかどうかはさておき、ただこのカタチを面白い、カッコイイと感じて気に入ったから、自分の空間に飾る。単純ですが、それでいいと思うんです。 北海道・知床の浜辺で見つけたクジラの骨自分自身が面白いと思うものを見つけること、またそれらを素晴らしいと感じる感情が、楽しみを生み出すんですね。自由空間というのは、自分が居て気持ちの良いところで、人に見せびらかす空間ではありません。「~が好き」そんなシンプルな思いに正直に、自分にとっての気持ちのよい空間をつくる、それがマイワールドになるはずです。整理整頓ができていなくても、統一感がなくても、置き方や配置にまでこだわり、細かく真剣に自分好みにすることで、その人なりの世界ができます。それで良いと思いますよ。

    片山正通

    片山正通

    1. 日本のアーティスト、大竹利絵子の作品「In or Out」。彼女は樟や檜、桂などを用いた木彫作品を制作。
    2. フランスの建築家/デザイナー、ジャン・プルーヴェの「Aluminum and wood sun-shutter」。実際の建築部材として作られたアルミ製の外壁で、1枚のアルミを波形形状にして光と空気を取り入れるようになっている。
    LIFE STYLE QUESTION 片山正通さんに聞きました。あなたの「理想の住まい」をおしえてください。

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