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LIFE STYLE MAGAZINE CREVIA TIMES BUNKYO SPECIAL EDITION people NO.3

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江戸情緒と近現代文化、2つの文化が交わる場所 行列がたえない老舗和菓子店「うさぎや」ご主人

街のこと、そしてその雰囲気や魅力を知るには、実際にその場所に暮らす人や馴染みのある人の話を聞くのがイチバン。その人たちの話に耳を傾けることで、街自体がぐっと近くに感じられ、また街の様子も見えてくる。今回、お話を伺ったのは、創業大正二年、100年を超える歴史を持つ老舗和菓子屋「うさぎや」さんの四代目ご主人谷口拓也さん。子供の頃の遊び場は湯島、そして大人になった現在は、湯島の馴染みの店で楽しいひと時を過ごしている。そんな谷口さんに、この街の魅力とお気に入りの場所について聞いてみた。

谷口 拓也
Takuya Taniguchi 谷口 拓也

創業大正2年、103年続く老舗和菓子屋「うさぎや」の四代目主人。初代と同じ卯年生まれ。伝統の味を受け継ぎつつ、新商品の「どら餡ソフトau lait」やうさぎやの美味しい餡子を使った様々なメニューを楽しむことができる「うさぎやCAFE」のオープンなど、新しい試みをしているアイデアマン。子供の頃から甘党で、和菓子だけでなく、洋菓子も好き。

Atomosphere of Edo 今でも残る江戸情緒と新しさが同居する

湯島の街は、近くに落語協会があったり、花柳界などがあったりしたところから、以前は落語家さんや芸者さんなどが多く住んでいたんですよね。落語家さんが住んでいたのは確か長屋だったかなぁ。現在の落語協会があるあたりです。

木造の古い店舗から新しく店を建て直すまでのしばらくの間、この辺り(湯島天神付近)に住んでいました。湯島天神は学問の神様を祀る神社として知られていて、毎年5月に行われる湯島天満宮例大祭の時は多くの人で賑わうんですよね。境内に向かう坂が二本あり、急な方は「男坂」と呼ばれ、奥にある緩やかな方を「女坂」というんですよ。ちなみに湯島天神下にある湯島聖天心城院さんには、うちのお菓子を納めています。

うさぎやカフェのちょうど目の前にある小学校は、私の祖父や父も通ったところで、明治43年に出来たとても歴史のある学校です。校舎は関東大震災の後に作られたものを現在も使い、地下には防空壕もあります。ただ近年、安全性の問題から現在の建物を残したまま、建築当時のようにきれいに改修する計画が進んでいるようです。

この街は、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、上野動物園などのある上野恩賜公園の文化ゾーンとアメヤ横丁、松坂屋周辺など商業施設のゾーンという多く人たちが訪れる賑やかな場所に囲まれていますが、昔からの住宅が多く残り、歴史や文化に触れながら、穏やかな生活を送ることができる場所です。地域が発展することで、街も綺麗になり、安全面も高まったと思います。

usagiya 古き良きものの支えの上に、革新的な新しさが成り立っている

上野の和菓子屋といえばここ!というくらい有名な「うさぎや」。創業は大正二年、初代店主の谷口喜作氏が、菓子作りの名人松田咲太郎氏に出会ったことから開業。うさぎやの菓子は芥川龍之介や永井荷風、そして池波正太郎など多くの文人にも愛されてきた。ちなみに店名は谷口喜作氏の干支が卯年だったところからつけられた。

店のシンボルとなっている屋根上のうさぎ。三代目の看板うさぎは人間国宝作のベネチアングラス製だったが、クラスの耳にひびが入ったため、現在はそのウサギをかたどった看板素材のものになっている。

「うさぎやは大正二年、私の曽祖父である谷口喜作が儲けよりも美味しいものを作ろうとはじめた店です。そして一代にひとつ、何かヒットさせるようなものをという思いがあり、初代は喜作最中を作り、二代目はどらやきをはじめ、三代目はうさぎまんじゅうを定番化し、そして四代目となる私がどら餡ソフトを考えました」

「前のお店は木造の二階建てでした。店舗の裏に工場があり、二階には職人さんも住んでいたんですよね」

焼印の耳と赤い目が可愛いうさぎまんじゅうと売り上げの9割を占めるという大人気商品の特製どらやき。

餡子と日本酒のマッチングを楽しむ”大人のかき氷”としてオススメの日本酒うさ氷(※うさぎカフェのメニュー)

「古き良きものを残しつつ、新しい流れを取り入れながら街が発展していくように、店も先代たちが残してくれた伝統の味を受け継ぎつつ、新しいことにも挑戦していきたいんですよね。震災の後にお客さんを笑顔にしたくて作ったどら餡ソフトやうさぎやの餡を楽しんでもらいたいとオープンさせたこのカフェもそんな思いからなんです」

owners favorites 旦那衆が行く、とっておきの店

「お客さんに美味しいものを提供したいという気持ちと努力が分かるお店で、いつも美味しいものをリーズナブルな価格で提供してくれるので、誰を連れて行っても、「いいね」と言われるし、また行きたくなる。そんなお店です」

ふくろう亭 誰かを連れて行きたくなる素敵な居酒屋

2006年にオープンし、今年10年目を迎える親子で商売を営む雰囲気の良い居酒屋。こだわりは、二代目自ら食材を厳選し、美味しいものをリーズナブルな値段で提供するというところ。店内には店主が全国各地から集めた沢山のふくろうグッズと手書きのふくろうのイラストが飾られている。店頭にいる二羽のふくろうは、良い目印となっている。

1. 店主自らが全て描いたという様々なふくろうのイラストがカウンター上の壁に飾られている。

2. 幸せを呼ぶといわれているふくろう。店の所々に飾られた雰囲気のあるふくろうグッズが気持ちを和ませてくれる。

3,4,5.友人や知人を連れ、よく足を運んでいるという谷口さんのお気に入りのメニューは、濃厚な味の豚タンの味噌煮込みとさっぱりとしたトマトのお浸し、そしてサクサクとした食感がたまらない長芋と鮭の湯葉コロッケ。


Bar shimojo 一人でゆっくりお酒を楽しめる隠れ家的バー

「一人で考えたい時や人と静かにゆっくり話をしたい時に足を運ぶ特別なお店です。店の落ち着いた雰囲気と、浅草の名店で修行をされたマスターのこだわりが伝わる隠れ家的な場所ですね。湯島を賑やかな場所だと思っている知人を連れて行くと一瞬でその考えを変えてくれるんです」

老舗や名店で修行を重ねたマスターの下条氏が、2008年にオープンさせたバー。「昔は一人でゆっくりと飲めるバーがあったんですけど、最近は少なくなってしまったので、自分はそんな店を作りたいなと思ったんですよね」と下条氏。その店内は言葉通り、落ち着いた雰囲気のインテリアにゆとりのある席といった作りでゆっくりとお酒を楽しめるスペースとなっている。

1. 餡子に合うお酒を探している谷口さんのリクエストにマスターが応え、オススメしたのがシングルモルトウイスキーのカリラ。

2. お店は地下にあり、階段を降りると関節照明に照らされた隠れ家的な雰囲気の扉が客を迎えてくれる。

3. カウンターには、1本でも美しく、存在感を放っているところがマスターの好みだという赤い薔薇が飾られている。

4. 甘党の谷口さんのお気に入りは、お通しで出されるオリジナルデザート。毎月、マスターが季節のフルーツを使用して作るデザートは男女問わずに好評。撮影時は新鮮なメロンに上品な甘さのアングレーズドソースをかけた一品。


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